2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

通信29-5 鳩に歌を教わった教皇

西暦800年、カール大帝は教皇レオ三世よりローマ皇帝としての帝冠を受ける。ここからすべては始まった。さあ、初めての宗教国家の誕生だ。といってもカロリング朝はいわば他民族国家、それをどのように統一してゆくのか。そこでカール大帝は聖歌の一本化を目…

通信29-4 アウグスティヌスはミサの音楽を聴いて涙を流したとさ

キリスト教が中世の音楽に及ぼした影響は限りなく深い。いや、というよりも中世の音楽史を語る事は、ほぼ教会の音楽の歴史を語る事になる。もちろんヨーロッパ全体を大きく見回すと、すべての音楽の中で教会の音楽が占める割合など僅かなものだろう。しかし…

通信29-3 古代ギリシャの祭りは想像がつかないくらいぶっ飛んだものだったらしい

唐突な話をすると、中世の理論家ヨハンネス・ド・グロケオが1300年頃、「これからは耳に聴こえる音楽のみを音楽とする」という、現代の我々からするといささか奇異に思える宣言をする。えっ?てえことは、それまでは耳に聴こえない音楽も存在したって事かい…

通信29-2 牛の腸と亀の甲羅から生まれた美しい響き

ヘルメス、そう、知性を掌る神であるヘルメス。ある時ヘルメスはふと考えた。長さの違う複数の弦を同時に鳴らすと一体どうなるのだろう?思い立ったら吉日とばかりに、彼は親友である亀をばっさりと斬り捨てる。ヘルメスには仲良しの亀がいて、いつも一緒に…

通信29-1 西洋音楽の歴史について色々と書いてみようかな

先週の事だ。私が住む福岡県の高校の音楽先生方にお集まりいただき、その前で講演というか、講義というが、うん、ともかくお話をしたんだ。西洋音楽の歴史ってやつについて。二時間で西洋音楽二千五百年の歴史をお話しようという無謀な試み。ああ、一体どれ…