2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
最近、中世以前のスタイルで曲を書く事が多い。まるで擬古文を用いるみたいにさ。なんでそんな事をしているのかって?もちろんその先に自由があるかもしれないと思っているからだ。でも、この模倣ってやつはそう簡単じゃあないね。上っ面を真似てそれらしい…
随分と若い頃から事ある毎にその作品を読み返す、自分にとっては指針のような梶井基次郎という作家がいた。まだ頭の上に卵の殻を乗せたままの青臭いガキだった私は、書店の片隅で偶然その本を見つけ、たまたま開いた「冬の日」という作品がもたらす衝撃に身…
ああ、胸がどきどきする。おいおい、どうした?街で奇麗なお姉さんでも見掛けたのかい?いや、まさか、もうずっと仕事部屋に引き籠ったままさ。今、私が安心できる場所は世界中でただ一つ、この仕事机の前だけだ。胸がドキドキしているのは、うん、心臓が暴…
「くたばる前に、どうしてもこれだけは」という夢がある。それはフェデリコ・フェリーニが監督した「8 1/2」という作品を映画館の大スクリーンで見る事さ。実はもうすっかり諦めていたんだ。フェリーニ作品がこの日本という国の映画館で上映されるなんてさ…
昨夜はとうとう吹き出してしまった。何に?って自分の滑稽さにさ。昨日は起き抜けからずしんと頭が痛かったんだ。ここ数日続いた目の酷使のせいだろうか。眼精疲労?うん、多分疲れ切った眼球の裏から滲み出た毒が脳味噌にまで回ってしまったんだろうさ。 そ…
毎日丁寧に研ぎ続けた包丁が突然切れなくなった。何故?百均ストアーで買った出刃包丁とはいえ、日々の研磨で随分と研ぎ澄まされていた筈だぜ。うん、ルーペを使ってよく見ると、ああ、妙に波打つような形になってきているじゃないか。多分、もうこれが限界…
突然、気温が下がったせいだろうか、右手が妙に痛むんだ。身に覚え、うん、そいつはある。確か初夏の頃だったと思う。思い切り地面を殴ってしまったんだ。そんなに地面が憎いのかって?いやいや、そんなはずもない、酔っ払って散歩をしている最中に、公園の…
災難は忘れた頃にやってくるという諺があるが、注文した事をすっかり忘れかけていたサキソフォーンのマウスピースが届いた。ん?自分にとってマウスピースというのは災難の一つなのだろうかと考え、そんな馬鹿な事を考える自分をしょうもない男だと嗤う。 マ…
いよいよ連作の最後の曲に入る。この一年、この連作ってやつに散々振り回されたんだ。途中、もうこの連作は完成しないんじゃないかと諦めかけたが、この秋になって突然、大幅にペースが上がってきた。いったいどうした事だって?うん、もちろん新しい眼鏡の…
何だかばたばたと週末を過ごした。石原まりさんのインスタグラムでたっぷり一時間ほど法螺を吹きまくるという企画をやっている。ここ数か月ほど。そういう訳で石原さんには毎月二度お目に掛かっている。二度?うん、一度目は本番の数日前、打ち合わせなどと…
もう随分と昔、まだ私が洟垂れ小僧だった頃、時折目にした映像がある。それが邦画なのか洋画なのか、あるいはテレビドラマなのかも定かじゃないが、ともかく暗い画面の中、いかにも意地の悪そうな男が鞭をふるいながら「働け、働け」などと叫んでいる。下級…
作曲のペースが一気に速くなった。何故って、もちろん新しい眼鏡のお陰さ。うん、今の私、誰の目にも五線紙に向かって音符を書きつけているように見えるだろう。多分、十数年振りだね。目を悪くして、まったく紙に向かう事ができなかった一年、それ以降、こ…
ルネサンスのイメージ、うん、私ならばまず煌びやかさが浮かぶね。中世に対してルネサンスという時代区分が言われるが、底意地の悪い姑的に捉えるならば、中世というのが時代の名称なのに対して、ルネサンスは文芸運動、すなわち運動の名称という事になる。…
ここ数日の事、酷い体調不良に喘いでいる。喘いでいる?ああ、良い言葉だねえ。ぜいぜい、はあはあ、吐く息もふいごのようです・・・、うん、今の自分の様子をよく表しているじゃあないか。 元々、今年の秋の入り口は、何となく体がおかしかったんだ。ともか…
今年の夏、具体的には2020年8月から、私にとっては初めての試み、「音楽について対話する」という事を始めた。きっかけは九州交響楽団でチェロ奏者として活躍しながら、同時に様々な企画に携わっている石原まりさんから勧めていただいた事にある。石原さんと…
視力を矯正できる事がわかった。これまで、ずっと十年以上もほとんど手探り状態であらゆる作業をこなしてきたんだ。今、書いているこの文章だって、差別的なニュアンスがあるってんでマスコミから消えてしまった言葉、うん、「ブラインドタッチ」とかいいう…
相変わらずおかしな夢を見るもんだね。夢の中の私は、どこか知らない国で、見知らぬ男から住居の提供を受けていた。男は白人。たどたどしい会話が続いていたのは、相手が外国人だからだが、夢から醒めてみると果たして日本語で話していたのか、あちらさんの…
伝染病の襲来で数少ない収入を絶たれた私は、気を紛らわす事も兼ねてともかく趣味を持つ事にした。遠出する気力もなく、うん、電車やバスに乗る事すら真っ平だってんで、部屋に閉じこもっていてもできる趣味、ああ、そうだ、魚を捌く技を磨こう。たまたま最…
伝染病の影響で大いに収入が減った。思わずごくりと息を呑むほどに。といっても普通に生活していられるからまあいいか。実は今、自分がどれぐらいの収入を得ているのかは知らない。仕事のギャラはほとんどが銀行振り込みだし、出費もほとんどが銀行引き落と…
最近、暇な夜にはアマゾンの無料動画のラインアップを眺める事が多い。特に邦画。うん、何やら懐かしい映画が並んでいるんだ。今年亡くなった東陽一監督の佳作「サード」、まだ若い、いささか軽薄で無軌道な若者役が似合っていた水谷豊が主演を務めた「青春…
伝染病騒ぎで毎日使っているスタジオが閉鎖になったのが三月の中頃。再びその扉が開いたのが六月のやはり中頃。つまり三か月ほども楽器に触れなかった事になる。若い頃ならいいさ。ああ、でもこの歳になって三か月の中断は致命的な事に思える。三か月も楽器…
そういえばおかしな春だった。今年の春は。伝染病が猛威をふるい・・・いやいや、世間様が言うほどに猛威をふるったって訳じゃない。ただ、人々はあまりに過剰に反応したんだ。元々、人は大騒ぎってのが大好きだからさ。街中いたるところで罵り合い。私が購…
それにしてもどれぐらいの期間、文字を書く事から離れていたんだろう?四ヶ月?五ヵ月?その間何をしていたのかって?うん、季節外れの冬眠さ。伝染病でこの国がひっくり返りそうになったのが確か三月から四月にかけて。まさに大騒ぎ。インターネットも大賑…
初めて病院とやらをはしごした。内科と眼科。腹が減ったら食堂に出向くように、体が壊れれば病院に行く、そんな当たり前の事にようやく気付いたんだ。五線紙にへばりついている間、どんどん目が翳み続け、もはや譜面を読む事も書く事もままならないと思い、…