2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

通信26-13 ひたすら山の中をさ迷い歩きたい

酒を飲み続けても酔わない、道を歩いていても気持ちが落ち着かない、新聞を読もうとしても文字がまったく頭に入ってこない。それはもちろん今が作曲の中休みの状態だからさ。本当は中休みって事で、すっかり気持ちを入れ換えたいんだが、ふと我に帰ると、頭…

通信26-12 現実音に侵された夢にうなされる

昨日は仕事を終えても興奮が静まらず、布団に潜り込んだものの目が冴えるばかりで、そのままふらふらと近所のスーパーに出掛け、おっ、なかなか良い鯛があるじゃあないかと、早速買って帰ったそいつを三枚に下ろし、冷蔵庫に残っていた酒で空っぽの胃袋に流…

通信26-11 梅雨の晴れ間みたいにさ

梅雨に晴れ間があるように、作曲って行為にも切れ間があるんだ。といっても四つの楽章のうちの一つがようやく終わったっていう話なんだが。でも、書き出し、いつも苦労するのはそこだ。そいつが決まってしまえば後は速い。何とか六月の前半にすべてを書き終…

通信26-10 ああ、わが不細工な姫君の運命はいかに

ここ一週間ぐらいだっただろうか、ほとんど機能しなかった目が、昨日の午後から少しずつ働き出してきた。上手く言えないが、強いて何かに喩えてみるなら、凍え、縮み上がっていた臓器が、次第に熱を取り戻してきたってな具合かな。 ここ数日間、いつもよりも…

通信26-9 ロールプレイングゲーム温厚な旅の老人版は存在しないのだろうか

スタジオが閉鎖されてから再び強いられた自粛生活。うん、幼稚園に入る前の生活。そんな生活だが、それでも次第に生活のリズムってもんが出来てきた。日々の中心にどしんと鎮座するそいつは、もちろん新曲を書く事さ。大まかに輪郭を作るために粘土を捏ねる…

通信26-8 怪しい微熱に包まれる

ここ数日、起き抜けに胸がどきどきするのは、別に綺麗なお姉さんに強い思いを寄せているからではない。心臓、くたばりかけた私の左胸の肉塊、そいつが働きたくないとごねているんだ。季節の変わり目にはよくある事さ。一昨日から、毎日使っているスタジオが…

通信26-7 ロールプレイングゲームって知ってる?

最近、ロールプレイングゲームなるものが世に中にある事を知った。大辞林によると自分自身が主人公となってゲームの中の世界に入り込んでゆくものらしい。元々、ゲームというものにはほとんど興味がない。あれこれと教えてくれている知人の話を、虚ろな目を…

通信26-6 結局はギリシャ悲劇のテキストへと

毎日使っているスタジオがとうとう閉鎖されてしまう事になった。とりあえず五月一杯閉鎖の予定だが、伝染病の広がり方によっては十分に延長の可能性あり、という事でいささかしょげている。去年の今頃は丁度三ヶ月に渡ってスタジオを使う事ができず、鯵の干…

通信26-5 アテナイの女神は葦笛を吹くとおたふく面になったらしい

人にはそれぞれ、秘かに噛み締める自分なりの喜びがあるのだろうが、今日の私にとってのそれ、それはトイレが普通に流れる喜びだ。それにしてもあの詰まり解消用の大きな吸盤、うん、まったく大したもんだと感心している。そういえばその吸盤って他に何かい…

通信26-4 かつてギリシャに不死身の天才がいた いや、今もいるのかもしれない

のっけから尾籠な話で申し訳ないが、私はここ数日、これまでの人生で最も人の排泄物を目にした。もちろん直に見たって訳じゃあない。映像で。Youtubeとかいうやつを利用して。といっても私にそういう趣味はない。必要に応じて。うん、実はトイレ詰まりの解消…

通信26-3 星は音を鳴らし続けているんだってさ

「ちまき食べ食べふにゃららら」などと、うろ覚えの歌詞をごまかしながら口ずさみ、ちまきをもそもそと口に運ぶ。昨日、近所にお住まいのお姉さん、和菓子屋勤めのМさんからちまきをいただいたんだ。端午の節句の限定メニューってやつかな。美味しいんだけど…

通信26-2 仲良しの亀を殺して楽器を作った酷い奴

まったくもってリハビリの真っ最中ってな感じだ。えええっと・・・、ほらほら、キーボードを打つ手も何だか頼りないね。酔っ払いの足取りみたい、私の指はキーの上をひたすらさ迷い、挙句の果てにようやく触ったキーが思ってもみなかった文字を生み出す。 い…

通信26-1 寝るより楽はなかりけりだって?

「寝るより楽はなかりけり」などという狂歌を詠んだのは、江戸時代後期に活躍した文人大田南畝だが、うううん、本当かねえ?寝るのが楽?この数か月、これまでの人生で一度もなかったほどよく寝たが、といっても実際には布団の中で虚ろに過ごしていたという…